トリゴニコス・ミソス
「なるほどね。でも、お前はもっと美名ちゃんのこと信じてあげていいんじゃないか?」

「信じるっていわれても。俺は美名のこと信じてるぞ」

「いいや、信じてないね。確かにオレやアポロンはこの世に存在するすべての女性を愛してる」

「……だから、それって威張れることなのか?」

「まあ、まあ、話は最後まで聞け。いいか。

オレたちは女性を見れば優しくしないではいられない。

もちろん、そうされた女性もまんざらでもないだろう。

でもな、太陽。美名ちゃんは違うぞ。

美名ちゃんはいくらオレらが口説いたからって、落ちることはない。

あの子の心を動かせるのは、太陽お前か、多分イデアだけだろうな。

もしかしてお前、イデアに美名ちゃんが取られちゃうんじゃないかって心配してるのか?」

「別にそうじゃない。美名がイデアを選ぶなら俺はそれでもいいんだ。美名が笑っててくれるならそれで……」

「本当に?」

「ああ」

「ホント、お前ってかわいいヤツだよ。オレの息子にしたいくらいだ」
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