【短】俺の、友人
俺の言葉に「ぷ」と松浦が、噴き出した

「女性は、子供を産むと変わるって言いますからね。勇人さんも桃香ちゃんに怒られたりするんですかねえ」

「うるせーよ」

俺は松浦の額にデコピンしてやった

「痛いなあ、もう」

「そんだけ話せれば、もう平気だな」

「はい?」

「さくらが心配してた。夜も眠れないくらい、な」

「そうですか」

松浦が、なんとも言えない顔をして、微笑んだ

「勇人さん、僕を刺した男って…」

「逮捕されたよ。警察にいる」

「他人事のように言っても駄目ですよ。勇人さんが、捕まえてくれたんでしょ?」

「まるで見てきたかのように言うな」

「さくらには内緒にしていてくださいよ」

「あ?」

本当に、知っているのか?

幽体離脱でもして、見ていたのかよっ

松浦が、切ない顔をしていた

「さくらの両親が、僕を殺すように真央の元恋人に頼んでいた…なんてさくらが知ったらきっとショックを受けるから」

松浦の眼球が、俺の顔を見て、哀願してきた

「なんで…知ってるんだ?」

「だって、勇人さん…『俺を止めろ』って何度も僕を呼んだじゃないですか」

松浦がクスクスと笑った

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