ダンディ★ライオンの秘密の恋愛講座
 たんぽぽ、ねぇ。

 そう、那由他さんには言われたけれど。

 刹那を見ていると、どうしても、そんな風には見えない。

 そもそも『植物』って言うよりは、ライオンだし。

 無理やり植物をイメージしてみても、たんぽぽにはどうしても、見えない。

 せいぜい、とげの一杯あるバラぐらいだ。

 そんなことを思いながら。

 わたしは、刹那の事をじっと見すぎてたようだった。

 カメラテストを兼ねた、リハーサルを終えた刹那が、わたしに近づいてくるなり、睨んだ。

「ナニ見てんだよ?
 もしかしたら、俺の美貌に惚れた?」

「ま、まさかっ!
 そんなコト、あるはずないじゃない!」

 全く動揺なく、って言うわけには、行かないけれど。

 はっきり恋なんてしてない、と言い切ったわたしに、刹那は面白がって目を細めた。

「ふうん?
 例え口先だけでも、俺を拒否るヤツなんか、そうはいないのに」

「そ、そりゃ刹那の顔は、キレイよ!
 だけど、わたし、そんなの関係ないし!」

「へえ、とりあえず顔は良いって認めてるんだ」

 刹那は、わたしの言った言葉を捕えて、微妙な顔つきをした。

「それでも、俺を拒否るのは。
 あんたが女優で、イケメンを見慣れてるからって、こと?
 それとも……?」



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