ダンディ★ライオンの秘密の恋愛講座
 
 彼の、静かな叫びにウソはなく。

 ただ、ただ、深い悲しみだけが見えたから。

 わたしも、思わず、彼の心に流される。

 両手を広げて待つ、彼の胸に飛び込んで。

 わたしもまた、泣きそうな声で叫んだ。

「刹那(せつな)!
 刹那、刹那……!
 わたしも……
 わたしも、刹那のことが好き……!
 愛してる………」

 もう、わたしは、何もいらなかった。

 彼の美しく、強い腕に抱きしめられ、守ってもらえるのなら。

 この世の何者も怖くなんてなかった。



 ……のに。




 それから刹那は、わたしを抱きしめてなんて、くれなかった。

 しかも。

 彼は、わたしに飛びつかれた格好のまま、喉の奥でくくくっと皮肉げに笑う。

「ぶー、優菜(ゆうな)はまた間違えた。
 そこ、名前は『刹那』じゃなくて『颯太(そうた)』だろ?」

「あ……!」


 し、しまった!

 わたし、間違えた!

 刹那の演技があんまり上手かったから!

 わたし思わず、役名じゃなく、本名呼んじゃったんだ……!!

 
< 2 / 53 >

この作品をシェア

pagetop