ダンディ★ライオンの秘密の恋愛講座

「お疲れ、優菜」


 わたしが、自分の楽屋に戻ると、早速。

 担当の技術さんが、わたしの背中を開けて、身体のケーブルをパソコンにつなげると、メンテナンスを始めた。

 そして彼はすぐに、ぐう、と唸って小声で独り言をした。

「……見事に、やられた。
 獅子谷の楽屋に入ってからの優菜の記録が、すっかり削除されてる。
 刹那について、面白い映像が残ってたら、臨時ボーナスになったのに。
 そういえば、あっち側にも腕のいい技術屋が居たっけな……」

 パスワードだけのブロックじゃ、話にもならなかったか、と。

 残念そうに頭を掻きながら、今度は普通の声で、技術さんは、わたしに聞いた。

「今回の優菜の演技、とっても良かったって、監督が言ってたよ。
 獅子谷さんの楽屋で、刹那に、どんなことを教えてもらったのかな?
 ……覚えてる?」

 技術さんに言われて、わたし。

 一生懸命思い出そうとしたけれども……

 ……うーん。

「……判らない」

「ま、そうだろうな」

 わたしの言葉にあっさりうなずいて、技術さんはまた、メンテナンスの続きを始めた。

 でも、わたし。

 本当は何か少し、変だった。
 
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