VS~Honey~
そんな晴紀を無視して茶髪の彼はこちらに向かって笑顔で挨拶する。
「初めましてっ。青木陸っていーます。晴紀くんと同じMars〈マーズ〉のメンバーです!」
犬のようだ。
それが第一印象。人懐っこい笑顔だった。
そういえば以前、結衣がF組にMarsのメンバーがいるって言ってたっけ。
それが彼のことなのだろう。
「あ、初めまして。私、相川……「美紗ちゃんっしょ?」
「あ、はい」
青木陸は私の言葉を遮って名前を呼んだ。
なんで知ってるのだろうか。
すると青木陸は私をじっくり見てニヤニヤと笑う。
「君がフワフワの美紗ちゃんね~」
え? フワフワ? 意味わかんない。
私は首を傾げるが、何でもないと言われてしまう。
そして青木陸は「お近づきの握手」と手を差し出した。
しかし、その手は晴紀によってペシッと叩かれる。
「何してんだよ。こんなとこで」
「いってーなー。いいだろ。サボリだよ、サボり。んで、気付いたら昼休みになってた。えへへ」
「ったく」
「晴紀こそ美紗ちゃんとこんなとこでな~にをしてたのさ」
「あ? 初めから見てたならわかんだろ」
「うん。迫ってたね~」
「陸、殺すぞ」
「じょーだん、冗談」
青木陸は凄む晴紀に降参と手をあげる。
それは机と私を挟んでされる会話。