とろけるチョコをあなたに
 熱に浮かれているだけならば、幾らだって奪える自信はあるのに。

 他の誰よりお前が好きだと、自信をもって言えるのに。

 青司と一緒にいるお前を見ると、そんな想いもどこかに吹き飛んで、唯唯打ちひしがれるだけだなんて、おまえが知ったらどう思うのかな。

 それでも恋人らしくないだなんて寝言が言えるんだろうか。

「で、青司にあげるチョコはどんなものを作る気だったんだ?」

 基本的な器具は出したものの、肝心の内容がわからないと作業に入れない。

 一口に手作りチョコといっても様々な種類があるのだ。

「実は……。青司は洋酒が好きだから、中にブランデーの入ったチョコを作るつもりだった」

 ありえないチョイスに思わずフイタ。

「よりによってブランデーボンボンかよ!
 むちゃくちゃ難易度が高いんだぞそれ!」

 難易度以前に未成年の飲酒は違法である。しかし、菓子に酒を使うのはよくあることだし、この際無粋な事は言うまい。
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