君の愛し方
スタジオに入るといまだになれない、灰色のカーペットに染み付いた色んな臭いが出迎えてくれた。


三人はスタンドマイクをどかし奥から横長いテーブルとパイプ椅子を取り出している。



「何やってるの?」



「もぉ。今日はギターのオーディションでしょ?」


あぁ。そうだった。
ギターを募集してたんだっけ。


「へぇ。人来たんだ」



「5人来てるんだよぉ。」



5人も来てるのか。
前回は2人…どっちもアウトだったが、今回はどうなるやら



そもそも、もう一人ギター必要あるのか?



「アキくんは隣〜」


マリイが俺を引っ張りスタンドマイクのあった所に誘導し隣に座らせる。

席順は太郎・祐二・マリイ・俺となった。


太郎の方から業務用の扇風機があてられ、三人の様々な匂いが混ざり俺に攻撃してきた。気持ち悪っ。


しばらくすると、ロング髪の男が入ってきた。


「直樹っす。よろしくお願いします。」



サラサラロングは首を縦に振り、ゴリゴリのヘビメタを弾き、速弾きをこなす。



あぁ、髪が抜けていってるー。


サラサラヘアーが立て振りするたび、一本、一本床に落ちていくのを見つめながら、くだらないことを思っている俺の隣からは歓声が上がっていた。



何が凄いのかねぇ。
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