ほわいとちょこれいと



翌日、また彼と出かけた。

高校の同窓会があったから。

その席でやはり皆が目で追ったのは、私の左手の薬指。

5年振りに会う皆は、あの頃よりも少しだけ大人になっていた。

教室で問い詰められたあの頃とは違い、温かく微笑んでくれた。

二次会が終わったあと、メールと着信が鳴り止まなかったのは、私も彼も同じだった。

やっぱり皆は変わってなかった。

学生時代を思い出させるようなテンションの高さで、興奮した声で問いかけてくる。

私は帰り道も彼の隣に居た。

二人、視線を合わせてどちらからともなく微笑んだ。

思えば彼とまだ付き合っていることは、高校の友達には全然話していなかった。

でも皆、覚えててくれた。

昨日と同じように、私の右手と彼の左手は繋がれたまま上着のポケットに入っていた。

寒い寒いとつぶやきながら、少し温かいポケットの中で、私は右手に少し力を込めてみた。

何も言わずに握り返してくるその手は、もう離さないと言っているようだった。


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