エゴイズム。

赤いヒール。

昨日は寝つく事が出来なかったため、濡れた髪の様に気だるさが体にへばりついている。

その気だるい体を無理矢理起こして外出の準備を始めた。

気だるい体に鞭を打ってまである場所に行かなくてはいけない理由があるのだ。

昨日、ポストに入っていた茶封筒の中には、俺が仲西雄大を射殺する現場の写真が数枚入っていた。

それだけならいいのだが、写真の他に紙切れが入っており、その紙切れには日時と場所と金額を記入しているのだ。

指定された場所に金を持って来ないと写真を警察に届けるぞ、という脅しだ。

誰かは知らないが、殺し屋に揺すりを挑むとは、ずば抜けた感性の持ち主らしい。

まぁ、俺からしてみれば探す手間が無くなるから好都合だ。

数分掛けて準備した後、煙草を一本吸い上げてマンションを出た。

歩く度、冷たい風が顔面を何度もぶつ、おかげで顔は麻痺している。

海岸沿いを歩いているせいか、普段よりも体が冷えていくのが鮮明に感じることが出来た。

冷えた体に少し癖のある潮風の匂が俺を包むが嫌でない匂いだ。

その海岸沿いを歩くこと約三十分、百メートル先には指定された場所の造船工場が見えてきた。

この位置からでもクレーンが聳え立っているのが見える、まるで蟻の目線で麒麟を見ている様な感覚だ。

造船工場の指定された通りに裏口から入ると、馬鹿でかい船が見える、その船は貫禄がある親父が胡座を組んで此方を睨んでいる様な堂々たる態度で聳え立っている。

圧倒されながらも、更に指定された倉庫に向かうために再び歩き始めた。


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