エゴイズム。

ミドリ広場。

腕時計が機械的なアラーム音を奏で、腕時計のデジタルは午前八時を示していた。

ミドリ広場から約300〜400メートル離れていて見渡せることが出来るマンションの屋上の柵にもたれて、片手には特注のアサルトライフルを握っている。

ミドリ広場は演説のために冬だというのに作業員が額に汗を拭いながら機材やパイプ椅子芝生の上に並べ、慌ただしく準備をしている。

その間、頭の中でシュミレーションする。

仲西が応援演説と見せ掛けて親父の悪行を市民の前で告発する、恐らく途中でSPが仲西の演説を阻止しようとする、その後、仲西が俺に合図を送る。
仲西が教壇の水が入ったペットボトルを触ったことを確認するとアラサイトライフルで仲西を射殺する。

とりあえず、これが計画の一連の流れだ。
計画はシンプル イズ ベストに限る。

ふと、演説会場の裏に目を向けると、白い三角形のテントの中に仲西の親父の仲西療治議員がパイプ椅子に脂の乗った体を落として座っているのが見えた。

仲西療治議員の隣には秘書らしき女性が、仲西療治議員に資料らしき物を渡している、恐らく仲西療治議員が喋る内容が書かれているのだろう。

殆どの議員は秘書任せで、無能な議員ばかりだ。
自分では何も出来ない議員は大きい赤ん坊だなと俺は思う。

依頼人の仲西雄大がちらっとテントの中から姿を現した。
仲西雄大は秘書の隣に座り喋っている、演説の打ち合わせでもしているのだろう。

俺は、再び腕時計に目を向けると午前八時三十分を示していた、演説が始まるのは午前十時らしいから腕時計のアラームを午前十時にセットして仮眠を取ることにした。


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