最初で最後

歪み

―その日から、あたしは寛生先輩と話すことが多くなった。
ただ単に、世間話。部活の事とか、普段の事とか。
先輩は、サッカー部だって言う事も聞いた。
先輩はやっぱり優しかった。面白くて、かっこよくて…。

3年とは言っても、夏季大会前。バスケ部のあたしは、
体育館からサッカーをしている先輩を良く見るようになった。
不良生徒だとは思えないほど、楽しそうに、真面目にサッカーをやってる。

そんな先輩に、あたしは少しずつ惹かれて行っていたのかもしれない。
凄く、先輩と話す時間が短く感じて、いつまでも話していたいと
感じるようになった。

これが恋なのか、それともただの先輩に対する気持ちなのか。
あたしには分からなかった。



「―光ちゃん」

「何?」


いつも通り恵里と授業をサボりに保健室に居ると、
保健の桧山先生が、めずらしく怒った口調じゃなく、
あたしを呼んだ。少しだけ真剣な表情をして。


「武下と仲良いよね?」

「まぁ…。良いって言うか…」

「あんまり一緒に居ないほうがいいんじゃない?あんな奴と一緒に居ると狂っちゃうよ?」


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