光る道

出ない答え

「ただいま…」



玄関を開け、つぶやく。



「やっぱり・・・か・・」



部屋は暗く、もちろん返事もない。





あの夕希との電話の後、なんとかファイナルまでコンサートは、やりとげた。




最後の会場は、家から通える場所だった。



でも夕希がいないのを認めてしまうと、集中力が切れてしまいそうで、ホテルに泊まった。




そして打ち上げも終わり、久しぶりに家に戻った。




廊下、リビング、順番に明かりを点けていく。




どこも綺麗に片付いている…




夕希の部屋の前に立ち、ノックした。




「入るぞー。」



返事はないのに、一応そう言って入る。




中にはベッドとタンスだけが残り、後は何もなかった。




「はぁー・・・まじか・・・」




心のどこかで、冗談であってほしいと思っていた。




部屋の電気もつけず、ベッドの端に座る。





『おかえりなさい。』



夕希が引っ越してきた日、俺を見てあいつが初めて言った言葉。




この家に住んでから、言われた事がなかったから、『ただいま』と言うのが照れ臭かったのを思い出す…

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