君の名前
濁る


「吉にぃ、電子辞書貸してー」


控えめな二回のノックの後で、妹がドアから顔を出した。


「ん?・・・あぁ」

俺は妹を見ながら、もう一度彼女の台詞を頭の中で繰り返し、目的のものを探すために鞄を持ち上げた。


「英語の宿題しようと思ったら、電池切れちゃってさー」


えへへ、と笑いながら妹はそう言った。


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