零~ZERO~
元彼病
"元彼病"と、私は名付けたのだが、貴矢と暮らし始めても、時々これに悩まされる。


貴矢と手を繋いで眠っているのに、願ってもいないのに、夢に出て来たり、私の心を、かき乱すのだ。


その度、号泣して、貴矢を困らせていた。

いくら貴矢が詞音の事を承知しているとは言え…。
私は最低な奴だ。



けど、詞音は未だに私の心を苦しめる。


『あんな奴のせいで!
あんな奴と出逢わなければ!』
叫びながら暴れて貴矢を困らせていた。


一緒に暮らしているのに、元彼の事を話されたら、貴矢も、たまったもんじゃないだろう。
だけど、私の頭から、心から、どうしても消え去ってくれない。

思い出になってくれない。

もう一方的に切られて1年以上たつのに。
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