俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



予想外の言葉が出てきて、あたしは思わず固まってしまう。


今、なんて言った――?




「柚が先生に抱いてる気持ちは痛いほど分かる。だってあたしは柚の味方だから」



「絵梨にゃん……」



「でもあたしは、柚の傷付いた顔が一番見たくない。柚の笑顔がみたいから。そう考えたら、現時点で柚を笑顔に出来るひとは、池谷しかいないんじゃないかって思ったの」




視線をあたしからそっとずらした絵梨にゃんは、あたしのことを想って苦しそうな表情を浮かべている。


大好きな親友にそんな顔をさせているあたしのことを、すっごく責めたいよ。




「あたしは池谷のことは気に食わないけど、一番柚のことを想ってくれてると思う。真剣な告白もされたんだし、ちょっとは池谷のことも考えてみたら?」



「あたし……池谷くんとそういう風になれる自信ないよ……」



「そりゃそうだよ。柚は先生のことが大好きなんだから、無理してまで池谷に恋をする必要はないよ。

ただ、視野を広げれば、選択肢はいくらでもあるよって話」




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