俺をオトしてみろよ。~愛しのドクターさま~



午後七時。


此処・桜井家の食卓は、いつもと違った時間を刻んでいた。




「朔夜君、今日から此処は自分の家だと思って、思う存分くつろげよ?」



「はい、ありがとうございます」



「お茶のおかわりはいる?」



「じゃ、お願いします」




お父さんとお母さんに贅沢な待遇を受けているのは、マイダーリン・進藤朔夜。


サラサラとなびく黒髪に、キリっとした眉、透明感がある瞳。そんな完璧なお方が、あたしの目の前で微笑んでいる。



―――ヤバイ。思わずまた鼻血を吹き出しそうになった。


あたしは左鼻にティッシュを詰めたまま、マイダーリンを凝視し始める。




一旦、話を整理してみようか。




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