神様は気になさらない(KK2)

記憶

チャーリーを見たとき。
ルイは、子供の頃夢の中で会った青年に再会したのかと、思った。



幼いころ。

ルイは身体が弱く、いつもひとり、ベッドの中に小さく身体を丸めて、咳き込んでいた。
外に出してもらえることもなく、同じ年頃の子どもとは、会ったこともなかった。
外で遊ぶことなんて、夢物語だった。

唯一、そんなルイをかわいがってくれた、存在。
それが、たった一人の姉だった。
姉はルイに、外の花やきれいな小石を拾ってきては、宝物のように見せてくれた。
姉からもたらされる物だけが、外の世界だった。


「いっしょに、遊べたらいいのに」
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