スキーキライースキ
「待って。みやびちゃん」
スーツ姿のしゅうさんに廊下で呼び止められた。
「はぃ?」
なんだろ?
このまま帰ろうかと思ったのに。
明るいところで見るしゅうさんは意外とかっこよく。180弱ある背と少し低めの声がベストマッチしてた。
「帰るつもりだったべ?」
笑いながらしゅうさんが言った。
げげっ。
「…うん」
咄嗟に本音が。
あたしったらバカ正直なんだから。
「ふふっ。俺もー
あの2人の邪魔にはなりたくねーし。送るよ。車だからさ。」
「あっ。ありがとうございます。」
いつもだったら「大丈夫ですよ。1人で。」の言葉があまりにも簡単に肯定の返事にすり替えられてた。
多分、この時から優しい笑顔にやられてたんだなぁ。