【脱】男子敵対復讐令!
蘭は冗談めかしく呆れたように笑う。
「またケンカするんじゃないの?」
「もうしない」
というか、もう彼はあたしとケンカをしないかもしれない。
蘭はまた「フフッ」と笑ってベンチに腰を下ろした。
「昔は“拳で分かりあえる仲”とか言ってなかったっけ?」
「大人になったら分かりあえなくなるんだよ」
クサい事を言って恥じる。
隣では蘭が笑いをこらえている。
ただ、蘭が来てくれたのには感謝する。
あたしと奴の間には蘭の存在が必要なのかもしれない。
ここに来る前、母親に伝えた。
「信也が来たら、“いつもの場所にいる”と伝えて」
奴はここに来る。
昔のあたしらの闘いの場所へ。
彼は今、彼に置かれている状況を歯がゆがっているだろう。
特にあたしに借りを作るのは。