【短編】ウラハラ
見覚えのある交差点まで来た。
あれを曲がればもう少しで会社、そうしたらお別れ。
ま、また来週会社で会うけど。
つまんないやつとか思われたらもう、あのしつこいくらいのメールも来なくなるのかな。
それは、それでありがたいけど。
うん。
柏木さんがポケットから煙草を出した。
カチ、カチッとジッポのライターから音がするのになかなか火がつかない。
「つけますよ」
思わず言ってしまった。
走りながらだと危ない気がしたから。