【短編】ウラハラ
第一企画部の柏木純江(かしわぎすみえ)さんは社内で一番人気の男性だ。
いわゆるイケメンで、仕事も27歳にしてすでにリーダー職、部長や課長に納得いくまで意見を言ったりしている。
先月のバレンタインには大量に別部署からもチョコをもらって、去年と同じく二袋の紙袋を重そうに抱えて帰っていた。
そんな人が何で私に構うのかまったくわからない。
私、第二企画部の原田美々子(はらだみみこ)は一昨年入社の22歳。
見た目も仕事のできもまぁまぁの私、どう考えたってからかわれてるとしか思えない。
私はぼんやりメールボックスの柏木さんフォルダを見つめる。
『今日の服可愛いね\(^O^)/』
『前髪切った?(^3^)/』
『初☆スカート!デートか?(T_T)ちゃんと説明しなさい』
こんなのが大量にくるおかげで他の人のメールを読み逃してしまうことがあり、柏木さんフォルダを作るハメになった。