Milky Way
触れるだけのとても長い優しいキス。


体を離した後のシンの表情はどこか悲しみを帯びていて私は何も言えなかった。



どうしていいのか分からない。

シンがどうしてこんなことをしたのか何も分からない。

シンの心が分からない。

そして…知りたくない。



心に蓋をする。

知るべきことではないはず。

私は知ってはいけない。



だから私は言ったの。


「シン、家に帰ろう?」


いつものように。

何もなかったかのようにね。

シンも私の心を読んだかのように通常通りに戻っていった。


たかがキス。

されどキス。


ただ後から考えて分かったことが1つだけある。


…シンのキスを嫌がっていた自分はどこにも居なかったということ。
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