[妖短]空の境界線を越えて
「じゃあ。明日おいで」
五十嵐がそう言って、

「へ?」
意味がわからず私が顔をあげたのと、

ガラガラと戸を開けながら
「あ。気が付いたのー?」
保健室の先生が入ってくるのが同時だった。


「大丈夫?
頭は打って無いらしいけど、急に倒れたのよ?
貧血とかあるの?」

先生はテキパキと私の様子を見ていく。


五十嵐が、
「じゃあ。これで」
と言うと、先生が、
「五十嵐君ありがとうね」
送ってしまう。


あぁ。もぅ。
どうしよう。


先生に促されて起き上った時、
カサリと何かが落ちた。


…これは…住所?

『明日おいで』
五十嵐はそう言った。
じゃあこれって…。


先生に見られるのがなんだか悪いような気がして、慌ててポケットに捻じ込む。


明日…。
< 27 / 44 >

この作品をシェア

pagetop