あめとてるてる坊主

3)背中を押して

 雨は、相も変わらず降り続き、さすがに青空が懐かしくなっていた。

 彼が隣にいるほどに、勇気のない自分に嫌気がさしてきた。

 あの日から、彼は「おはよう」と言ってくれるようになった。

 それが本当に嬉しくてたまらなかった。

 けれどそれと同時に恥ずかしくて、今にも消えそうな声でおはようを返すことしかできずにいる。

 何よりそれ以上の会話もなく、バス停を待っている間は雨音だけが響くことに変わりなかった。

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