あめとてるてる坊主
「花火、見に行かない?」


 身を乗り出して沙世ちゃんは言ってきた。

 一つの机を囲んでプリントに顔を寄せていた私と里美ちゃんは、突然のことに顔を見合わせた。


「土曜日!晴ちゃんの町で花火大会あるでしょ?見に行かない?」

「土曜日ね……テスト明けか」


 里美ちゃんはシャーペンをくるりと回した。


「いいけど、晴子は?」

「うん、いいよ」

「よーし!決まり!あまちゃんたちにも言っておくから!」


 その名前に、私はびくりと体が強張った。

 また、胸が痛んだ。

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