本屋の花子〜恋をしたら読む本〜
珈琲を買いながら背中に感じる小池さんの痛い視線。


珈琲を両手にいっぱいいっぱいの笑顔で振り向いたんですけど気のせいか?


小池さんは本に目を落としておりました。

切ないってこんなスチュエーションでもつかえますか?



僕の顔を全く見てくれません。




『小池さん。あのっそんな本を読んで何をする気ですか?』


さっきから気になっていたんですよ小池さんが読んでる本が。




小池さんの読む本はジャンルに縛られていなくて色んな物を読んでたりするんで頭の中はどんなになっているのか知りたいとは思ってましたけどね


だからですかね?

感情が豊かで現実を鋭く見つめている時と夢見がちな時のギャップか良くわからないんですよね。



僕も読書家なんですが殆ど小池さんが貸してくれてるんですよ



2人の秘密のロッカーがあるんです



本の受け渡しが100番ロッカー



秘密ってドキドキしていいですよねっ




コッソリと鍵を渡す時は男の僕もキュンキュンしちゃいます



小池さんはSマート以外に夜間書店の店員さんですから読む本の数も半端ない。



レジを待つ間も本を読み

駐車場までの道のりも本を読み


休憩室で本を読みながら周りの話を聞いている


本の話をする時は天使のようですよ。


なのに今、目の前にいる小池さんの顔は能面のようで怖いです
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