本屋の花子〜恋をしたら読む本〜
「あのぅ。レジ袋下さい」


はっ。
花子またですよ

妄想にどっぷりになってしまいました。



まっさんの通り過ぎた後に意識が戻りましたよ。



「あっはい申し訳ございませんレジ袋何枚お入れいたしましょう」



あせって手が震えます。


「あっ。一枚でいいです」




現実にはダーリンは目の前で静かな無表情のまんまビタンのモノグラムで2つ折りの財布をポケットから出し福沢さんの紙幣を一枚抜き取ると下を向いたまんま花子に差し出しました。



受け取る花子の手は震えてしまいます。



「細かいお金はよろしいですか?」


花子はダーリンもう少し近くに居たいと話しかけてみました。



「あっ。いいです」




「かしこまりました。一万円お預かりいたしまぁす」



花子、手際よくレジを打ちお釣も手際よく数えます。



はぁ。


何か勇気が欲しいものです。



ダーリンはお釣を受け取ると片手で買い物篭をヒラリと持ち。



スタスタとサッカー台(買い物した物をつめる台)へと行ってしまいました。



買い物した商品を袋につめる真剣な横顔。



やっぱり素敵ですぅ。



花子思わず見とれてしまいましたよ。




その時です

何やらサービスカウンターからイヤらしい視線がありまして



花子の目の角に映るはメタボな奴の影



まっさん見つめんといてその、ちんまい目で



まっさんの視線を無視した花子。


もうダーリンが気になって仕方ありません。
 


「あのぅ」
 


「はい」
 

ダーリンを見つめる花子の横顔にさらに突き刺さる視線

 

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