本屋の花子〜恋をしたら読む本〜
御守り
ダーリンの背中が消えてしまった後の空虚な気持ちって。



正しく恋じゃあないですか?


花子は仕事中も上ダーリンと過ごす時間の妄想を炸裂させてしまってます

お金を扱う仕事慎重にしないと。


集中!集中。


カウンターからまっさんが花子を見てる


さっきから厳つい目を細めて花子を監視するかの様な視線が気になるんよ。


何ですか?


その顔が怖いから見ないで下さい


その日は花子は目まぐるしい妄想と奴の視線にとうとう疲れてしまいました。


更衣室に入り缶コーヒーを一気に飲みほしてSマートの制服を脱ぎました。


次に待っている本屋の仕事に行く約10分だけの私服にね。


花子緑色のジャージでジーンズ姿です。



あれほど張り切った可愛いスカートは最近履く気になれませんよ。







ジャージの左のポケットに何気に手を入れました。

あれっ?

あっ。


花子すっかりと忘れていましたよ。


この間の事です。




       *


 
「小池さん!」


漫才師の様なその声に振り向きましたよ。


「何ですか?何時も帰り際に呼び止めないで下さい!」


花子には本屋の仕事が待っています迷惑なんですが


「あっ。そんな怖い顔しないで下さい。あっと」


まっさんはワイシャツの左についている胸のポケットをもそもせそと左手を突っ込んで何やらとり出しましたよ。



まっさんは小さなピンクの花柄の包みを出しました。



「何時も本を借りてばかりでお礼なんです。貰って下さい昨日の出張の土産なんですが。皆に無いから内密で」


そう言うとまっさんは何時ものごとく「いらっしゃいませぇ」と花子の前から立ち去りました。


一度だけ少し右に振り向き。


そして花子に手を振って。





まっさん。



貴方ががとても素敵に見えました

物を頂いたからではないよ。








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