『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)

第2節『ハイ&ローの危機と未熟な剣客』

―ユリウス歴1400年―


―フランス―



次の日、俺とハイドは朝早くから狩りに出掛けた。


ハイドは昨日のお屋敷へ向かい、俺は昨日とは別の村へと狩場を分担した。



―近くの村―



『ん〜この村はまだ平和だなぁ』



俺は一人でその村の人の家に旨い物が無いか村中を見て回っていた。


すると、俺を見付けた村人の一人が俺を指差しながら大声で俺の名前を叫んだ。


『ローだぁぁ〜』


『ハイ&ローのローが来たぞ〜』



俺はその声に驚き、一気に逃げ出した。



『やっべぇ〜。もう見付かっちまった』



勿論、真っ向からその大人達と戦えば勝てる自信は有ったが、なるべくなら人を傷付けたくなかった俺は、一目散でその村から出ようとした。



『やっべぇ〜逃げろ〜』


『待てぇ〜』


(おっかしいなぁ…いつも他の村の奴らなら逆に俺から逃げる位なのに…)


(なんでこんな空腹な時に限って追って来るんだよ)


『こらぁ〜待てぇ〜。』

“ダダダダダダダ…”


“ドタドタドタドタ”


“ダダダダダダダダ”



村の奴らは俺から逃げるどころか、俺を捕まえようとする者ばかり、しかも逃げれば逃げる程俺を追い掛ける村人達が増えてきた。



『ど〜なってんだよこの村の奴らは』



“ガチャーン”


“ガラガラ”


『ハァッ…ハァッハ…』



俺は息切れしながらも、村の家と家の間の細い隙間に入って、ほとぼりが冷めるまで待機する事にした。


すると、俺が隠れている家のすぐ近くにまでやって来た村人達の会話を聞いて俺は驚いた。



“ダダダダダダダダ”


『クッソ何処に行きやがったあのクソガキ』


『ダメだ、こっちにも居ない。』


『俺の方もだ。』


『私の家にも居なかったわ。』


『クッソ、せっかくの金づるが…』


(“金づる”?…)
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