『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)

第9節『神の声を聞く少女』

―14世紀・フランス―



俺は森で出逢ったジャンヌに手を引っ張られながら走り、俺が元居た場所まで案内され、とうとうたどり着いた。



『ハァ、ハァ…』


『多分、この辺りだと思うんだけど。』



ジャンヌは、息を切らせながらそう言い、繋いでいた俺の手を離した。


俺は、空に向かいながら、大声でミカエル達の名前を呼ぶ事にした。



『お〜い』


『ミカエル〜』


『カトリーヌ〜』


『マルグリット〜』


『………』


(あれ〜?可笑しいなぁ〜…)


(通信が出来なくなっちまったかなぁ?)



俺がそう思っていると、俺の声に少し遅れてミカエル達の声が返ってきた。



『ジャンヌよ…神に選ばれし少女ジャンヌ・ダルクよ…』

『私はミカエル。“大天使ミカエル。』


(はぁ?)



俺は、聞き覚えの有る声と、聞き慣れない口調や、支離滅裂なミカエルの話しで少し混乱していた。


しかし、そんな俺を無視するかの様にミカエルの話しは続いた。



『ジャンヌよ…私の声が聞こえているか?ジャンヌよ…』


『はい。ハッキリと聞こえています。』



ミカエルの問いに反応するジャンヌ。


そして、俺もミカエルにこう言った。



『おいミカエル。テメェ息なり、なに訳の解らねぇ事言ってんだよ?』


『大体、何時からテメェは“大天使”になったんだぁ?』



すると、俺の問いに答える事は無く、ミカエルの話しはまた続き始めた。



『私は大天使ミカエル、そして、私と共に、聖女カトリーヌとマルグリットが、お前に、神の声を言い渡す。』


『はぁ?“神の声”?』


『テメェ、さっきからなに言って…ん』


(“神の声”?)


(って、まさか…)


(そうかそういう事だったのか)
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