カナリアンソウル

検査

夏は、私が想像していたのよりも少し早くやって来た―

今日が約束の日だというだけあって、私の緊張は一向にほぐれない。

「もお〜!なに着てったらいいのお〜!いっつも制服だから分かんないんだけど〜」

焦り過ぎて、いっそジャージとかにしちゃいたい。

「あっ!最近買った服!」

散々迷い、新品のシフォンの白い服と黒のミニスカ。

いつもより念入りに化粧をして、パンプスを選んだ。

「…大丈夫かな?」

祭り事はいつでも気合いが入るもんだ。

待ち合わせ場所に行くと、貴の姿が見えた。

「遅れてごめ―…」

…誰かと話してる?

貴の隣には―

「おっ、来た来たぁ!遅いよぉー!」

ひろみと卓人が居た。

貴は手に焼きそばか何かを持ち、こっちに向かって来る。

「えっ、ひろみ――?」

急に私が声を上げたものだから、貴は買ったばかりと思われる手の中の物を危うく落とすところだった。

「な、何だよ、急に」

「今日、ひろみ達も一緒って知らなかったから――」

「二人が良かった?」

「違うの。皆で来れて嬉しい!」

「あっそ」

貴は適当に返事をしながら、焼きそばの入ったケースを差し出した。
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