記憶 ―夢幻の森―

『迷いの森の一部に、その山はある。』


迷いの森とは、
その範囲は広く、本来は容易に歩ける距離ではない。

この世界を、
「人間」の棲む大地と、
「妖精」が棲む大地とで分け隔てるもの。


面積にすれば、
世界の3分の1程…
森には、じぃさんのような精霊が棲む。

フィネルを含む妖精の大地をぐるっと円状に一周取り囲むように存在する。


ここまでは、容易に理解できるのだが…、


『本来の距離であれば遠いが、森の中は異空間であるから、わしが望めば空間はねじ曲がる。』

「距離を近付けられる、という事か…?」

じぃさんは、「まぁ…」と曖昧な返事の後にハルカに言った。


サワサワ…
『ハルカは分かるじゃろ?』

「うん!学校で習ったよ!」

俺とコンが無言のまま驚き、同時にハルカを見た。


「何、その驚きよう…。あたしったら、実は成績優秀なんだからね!」

『…う、嘘だッ!こんなんハルカじゃねぇッ!』

ハルカは少し唇を尖らせると、俺たちに説明をしてくれようとした。


「ホントだってば!えっと…、迷いの森は広いんだけど、狭い。」

「……。」
『やっぱ嘘だろッ…。』

コンは哀れんだ様な目でハルカを見上げる。

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