狼さんの好きな人
朝食を済ませると、俺はリビングで新聞を読みながらコーヒーを飲んでいた。


「オイッ、直也…」


枢か…。


これまた不機嫌な顔してるなぁ。


「何?」


「俺に見せてた、ひよりの写真。アレ、別人だったらしいな?」


あぁ。


だから機嫌が悪いのか。


「枢、気付くのが遅いよ。何年かかってんの。でも、そのおかげでお嬢がとっても可愛く見えたでしょ。一目見たとき驚いた?」


「驚いた…って、ちげーよ!!そういうことじゃなくて…」


驚いたんだ…


ホント、枢は可愛いな。


「枢はさ、お嬢とひよこが似ていて何とも思わないの?ひよこが生きてたら、お嬢みたいな感じになってんのかな…とか。」


「はぁ?お前、話そらすなよ。何とも思わねーよ。ひよりは、ひより。ひよこは、ひよこだろ。性格も違うし。俺は、ひよりをひよこに見立てたことなんてねーよ。」


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