12月になれば





 初めてのキスは中学生の時だった。


その男の子はピアノを弾くのが凄く上手な頭の良い子だった。全国模試の上位に彼の名前を見つけた時は吃驚した。頭が良いとか、付き合っていても自慢らしい事を本人から聞いたことがなかったから。


手のとても綺麗な子だった。
彼と私は毎日のように一緒に帰った。


吹奏楽部に入っていた私と、サッカー部の彼が練習を終えるのは同じぐらいの時間だった。私と一緒に自転車を押して帰る彼を、同じ部の友達がよく冷やかしていた。


「ユキらの様な清く正しい男女交際をしなさいって先生に言われたよォ~」


「仲良さそうで羨ましいわァ。」


「あたしも彼氏欲し~。」


仲の良かったクラスメイトに、私もよく言われた。







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