望遠鏡

「あ、おばさんお邪魔しました」

「あら、深春ちゃん来てたのね。
芳隆は?」

「芳隆寝てるみたいだから、起こさずに来たんですよ」

「まぁ!
芳隆ったら、
せっかく深春ちゃんが来てくれてるのにねぇ」

「あ、いえ、いいんです!
また私が勝手に来てたんで」

「あらそう?
じゃぁ気をつけて帰ってね」

「はーい、お邪魔しました」


深春は元気よく挨拶をして間嶋家をあとにした。

その頃芳隆は、玄関を出て行く音を確認してから、
今まで寝ていたとは思えない動作で立ち上がった。

芳隆は寝ていなかったのだ。


「まったくあいつは…
俺の身にもなれっつーの」


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