フォトグラフ
★ six scene 『「勇人」と「國」』
「ああ~!この話なげぇー俺こんなに読んだ事ねぇよ!」
國は一人突っ込みつつ、ソファにボスッと手足を広げて座った。
「その割に集中してたじゃないか。」
社長デスクに座って自分の仕事をしてたらしい萩原さんがこちらをニヤリと笑った。
そんな顔までセクシーだからズルいよなっと思ったがその事は言わず、
「う~ん。俺は俺の歳ぐらいの役をするんだろ?
だとしたら話的に今まで読んだとこは、中学生前後だから、
まだまだ読まないとだめじゃん。
うぇ~。」
自慢じゃないが活字は苦手だ。
「そんな事でどうする。
モデルやってけないぞ。
今回はお前の言うとおり、その主人公の勇人役だ。
でもその話途中までしかもらってないがな。」
その瞬間俺はぐてーっとしてた頭をぐいっと持ち上げて、
「うそーー~!まだあんのかよー!」と叫んでまたぐてっとした。
まだ3、4枚あんのに…途中なのかよ…。
「当たり前だ。
モデルまで雇ってんのにそれだけじゃ、短すぎだろ。
まずはソレ全部読んで、そこまでの勇人の気持ちをお前なりに解釈して、
勇人の気持ちで撮影に望め。
続きは撮影毎に随時渡されるそうだ。」
はへ~と言うしかなかった。
俺が持ってるコレが文字じゃなくて、漫画とか映画とかなら、すっと見られるんだろうけど、
活字からのスタートだと、俺にはきつかった。
しかし、こういう事も仕事の一つだと思い、続きは家で読む事にした。
今はもう読めない。
しんどい…。
目が痛い…。