フォトグラフ
★ eight scene 『「皐月」と「早英」』
高校生役なはずなのに、萩原さんに貰ったのはここまでだった。
「高校生部分、ほとんどなかったじゃん!!
窓越しに目があっただけだし!」
俺はぐて~っとベッドに伸びた。
そうだなぁ、と哲哉も顎に手を当てて考えている。
ぁ、
そのポーズ賢そう。
「バカな事考えてんな、國。」
はい、すみません。
「でも、恋愛小説とか漫画とか、普通くっつくまでの方が大切じゃね?
中学でくっついてたら、高校なんて美味しいとこ残ってないんじゃねぇか…?」
「え゛。俺、チョイ役!?」
ベッドからガバッと起きた。
「なんか聞いてねぇの?」
「ぇ~、萩原さんは貰ったとこまでの主人公の気持ちを解釈しろって。それを演技に生かせって。
で~、作者からは、俺の思ったようにしろって。」
俺の話をじっと聞いていた哲哉は、
「作者」と聞いてピクッと動いた。
「全然関係ないんだけどよ、俺、本よく読むじゃん。」
そう、スポーツマンじゃないのに、それを売りにしてる俺とは違い、
哲哉は知的な見たを裏切らず、頭が良いし、本好きだ。