伝う玉梓【短編】







庭の草木が見える。





父がよく管理している草木が青々と葉を付けている。








ふと気が付くと、中には人の腕も、枝に混ざって伸びている。




いや違う、あれは塀の向こうに隠れた身体から伸びている腕だ。


幼く白いその腕は、懸命に腕を枝へと伸ばし何かを取ろうと、いや、取り付けようとしている。




気が付けば僕はその手に向かって手を伸ばしている。



その僕の手もまた幼い。








「じょうずになったね」



誰が言った言葉か。

僕か、他の誰かか。



「ずいぶんれんしゅうしたのだから」




誰が言った言葉か。

僕か、他の誰かか。




暗転の間際、腕の生えていた所には女性が立っていたように見えた。
< 16 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop