伝う玉梓【短編】
庭の草木が見える。
父がよく管理している草木が青々と葉を付けている。
ふと気が付くと、中には人の腕も、枝に混ざって伸びている。
いや違う、あれは塀の向こうに隠れた身体から伸びている腕だ。
幼く白いその腕は、懸命に腕を枝へと伸ばし何かを取ろうと、いや、取り付けようとしている。
気が付けば僕はその手に向かって手を伸ばしている。
その僕の手もまた幼い。
「じょうずになったね」
誰が言った言葉か。
僕か、他の誰かか。
「ずいぶんれんしゅうしたのだから」
誰が言った言葉か。
僕か、他の誰かか。
暗転の間際、腕の生えていた所には女性が立っていたように見えた。