【短】KISS



「ごめんね、落ち着いた?」




心配そうに

わたしの顔をのぞきこむ

アミさん。



わたしは

チェリー味のキャンディーを

口にいれながら答えた。




「大丈夫です。

ごめんなさい。」




わたしが

そう言って謝ると

アミさんは

こっそりとつぶやいた。




「なるほどね。


彼氏クンが

未夢にキスできない理由……」



「え?」




スウィーティーな

女の子の歌声で


消されてしまった

アミさんの言葉。



聞き返しても

アミさんはほほえむだけ。





そして

ピンクのハト時計が

夜の7時―――



わたしのバイトの

終了時刻を告げた。


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