風のおとしもの。




「はぁ……」




今日も何事もなく終わった。
湯舟に浸かると、体の力が抜ける。
疲れと一緒にこのもやもやも苦しみも抜けていけばいいのに。


「私、嫌なやつだなぁ」


そんなのわかりきってるけど。
久しぶりに絵でも描いてみようか?


「……でもお母さん、許してくれるかな」


お母さんが大好きだったことを、のうのうと生きている私が楽しんでもいいのかな。
描くのは楽しい。
特にお母さんに習うのは大好きだった。
上手な絵が描けたことはなかったけど、描くことは好きだ。


「ひーちゃん、のぼせてない?大丈夫?」

「ぁ、今出ます」


長風呂しちゃったみたい。
おじさんもう帰って来てるかな?
待たせちゃったかも……悪いことしたな。


「ごめんなさい。今度から気をつけます」

「いいのよ、ただ心配だっただけだから」


おばさんは優しい。お母さんみたい。
お母さんのお母さんだから、似てるよね。
……私は、なんで似てくれなかったんだろ。


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