風のおとしもの。
「雛、走れ!」
「ぅえっ」
突然のことに驚いて、蛙が潰れた時のような声が出る。
ともかく、私は佳代さんの手に引かれるまま走り出した。
逃げなくても、村井君はきっと謝れば許してくれるのに!
言う暇もなく走っていると、後ろから感じる殺気。
「そんなトロくさいの連れて、逃げ切れると思うなよ……!」
「普通追いかけてくるかよ、しつこいなぁ!」
「かっ、佳代さん、私に構わず逃げて下さっ」
振り返ると村井君がすごい形相でこっちに向かって来ている。
……やっぱり許してくれないかも。
人目も気にせず走り出した私たちは、下校する生徒たちの中に紛れていった。