かえるとねこ
すみかの中には、あずき色や紫色の
老おいたにんげんさんたちが、
何匹も何匹も集まっていました。

老いたにんげんさんたちは、
みんな同じ方向を向いていました。

みんなが見ている方向には、
一匹の桜色の若いにんげんさんがいて、
何か話しかけていました。

「きょーうーは、おーいーわーいーを、
すーるーひ、でーすーね」

「・・・・・」

「きょーうーは、しーせーつーちょーうーが
みーなーさーんーに、
きょーうーど、りょーうーり、を、
よーうーい、しーまーしーた」

「・・・・・」

「みーなーさーん、たーのーしーみーに、
しーてーくーだーさーいーね」

若いにんげんさんがいなくなりました。

それでも、老いたにんげんさんたちは、
同じ方向を見ていました。

ひなどりさんは、にんげんさんの多さに
おどろいて、中に入ることができず、
まごまごしていました。

すると、一匹のやまぶき色をした
老いたにんげんさんが、
ひなどりさんをポーっと見つめたかと思うと

ゆっくり口をあけ、
「わうあ」と言いました。

その声は、
ひなどりさんには聞こえませんでしたが、

ひなどりさんは、
そのにんげんさんと目が合い、
こわくなって逃げました。


ひなどりさんは、
その後どうしていいか分からず、
すっかり疲れ果ててしまい、

「おかあさん・・・」

とつぶやくと、
パッタリと、
その場に倒れこんでしまいました。

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