HEMLOCK‐ヘムロック‐
 透も泉もいきなり突きつけられた真実に混乱している様だった。


「そんな。やっぱり、記事が間違えているんじゃ……?」

「ちなみに、界の行方不明の妹が“見つかった”という記事はどこにも無い」

「え!? まさか、じゃあ、本当の妹はまだ行方不明のままって事!?」


 事務所には、開けてはならない箱を開けて、そこから立ち込めてしまった様な不気味な空気と、不穏な沈黙が流れた。



「じゃあ……、盟って一体誰なんだよ」


 透が苦々しく呟く。


「わからない。でもアタシは、この事と界が『HEM』に関わってる事は関係してるんじゃないかと思うんだ」

「え?」









 界と盟は車で帰路を辿っていた。
盟は助手席でボンヤリと窓の外の流れる景色を眺めながら呟いた。


「兄さんに打ち明けた方がいいのかしら……」

「そんな事出来る訳ないだろ。これは俺の問題なんだ」

「違う。“私達の”よ」

「……」




「界……、私を独りにしないで」





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