HEMLOCK‐ヘムロック‐
 盟の表情を読みとってか否か、勇は少し違う種類の笑みを浮かべた。


「盟さんって、嘘ついてますよね?」








 資料室で透は携帯電話を開いた。
知らない携帯番号。

 誰だろうと思いながらも、電話に出た。


「もしもし?」

「私だ。礼二だ」

「え!? なっなんで俺の番号礼二さんが知っているんですかっ?」


 探偵助手らしかぬ声を透は上げた。


「界や盟には繋がりたくない電話なんだ。許してくれ。……城戸が消えた。そっちに行ってないか?」


 礼二の声は昨日と違い、敬語も取れ、かなり焦っている様だ。聞こえる音の感じから、どうやら移動中らしい。


「城戸って、あの秘書の? 今ウチに来てますよ」

「今すぐ追い出せ!! いや、捕まえろ! 絶対逃がすなっ!! 私も今そっちに向かっている!」

「え? どう言う事ですか!?」

「城戸は『HEMLOCK』を知っている! 危険だ!!」


ブッ


 礼二との連絡はそこで途絶えてしまった。

 透は訳もわからないまま資料室を飛び出した。すぐ隣の事務所へ。










「あなたは礼二さんの妹ではない。界さんとも血は繋がっていない」


 透が飛び込んだ場面はまさに、勇が盟にそう言い放った瞬間だった。

 2人が透に注目し、場は氷ついた。

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