HEMLOCK‐ヘムロック‐

「昨日ぶりですね。駆藤さん。あなたもご存知なんでしょう? 黒菱兄弟の秘密……」

「帰って!! いい加減にしてッ! 何なのよあなた!?」


 盟が今まで見た事も無い程に逆上している。
 透は礼二の電話も含めて状況が飲み込めなかったが、とりあえず“城戸 勇がヤバい奴”ということは脳がはっきり信号を送っていた。

 盟の声を聞きつけて界と泉も奥から現れた。


「どうされました!? 盟、何があったんだ?」

 盟と勇を見比べて界が尋ねたが、両者は無言で向き合ったままだった。
 泉はただオロオロしている。


「……本当に、俺の事なんか覚えてないんだね。

……“メイ”」



 勇は悲しそうにそう言うと、メガネを外した。どうやらメガネは伊達らしく、コンタクトレンズまで外しだした。


「俺はメイの事、忘れた日なんて無かった」


 そこでようやく盟は気が付いた。


勇の銀色の両眼を見て。


彼はどうやらカラーコンタクトをして、銀の瞳を隠していたらしい。
そして盟はその銀色を見るのは初めてではなかった。


「ま、さ、か……」


 次に勇が黒髪のカツラを パッ と、ネットごと外した瞬間。今度こそ全員が反応した。
< 145 / 343 >

この作品をシェア

pagetop