HEMLOCK‐ヘムロック‐

「本当は、貴方こそが最初から紅龍會の存在も何もかも知っていたんじゃないのか?
貴方は父の片腕として紅龍會を調査していた張本人でしょう? 界を止めようとする様子も、そこから来てるのでは?」


 詠乃は観念した様に微笑しながら、自身の携帯をいじり出した。


「……界くんを止めようとしたのは、私自身が苦労したからでは無いわ。灰仁さんが最期まで、そう望んでいたからよ」


 そう言って礼二に差した携帯の画面には、灰仁からの最期のメールであった。




『界はいつか紅龍會に辿り着いてしまうだろう。私はあの子にこれ以上の深みに嵌って欲しく無い。
平凡に幸せに生きて欲しい。

しかし、もし界が決意してしまった時は、どうか彼を助けてやって欲しい。

そんな日が来ない事を願うが。

君も私にとっては娘の様な存在だ。どうか幸せに生きて欲しい。
今まで世話になった。』




 それは彼が亡くなる4日前に詠乃に宛てた、灰仁からのもう1つの遺言だった。


「礼二くん、私も覚悟を決める時が来てしまったのよ」





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