HEMLOCK‐ヘムロック‐
 ならばイオが躊躇した理由、日本に行く事を思い留まらせた人物はヘスティアであると界は納得した。


 何故ならヘスティアはアレス、アテナ――つまり界の実の両親を酷く憎んでいる。
とイオから聞いた。

 親友が忌み嫌う人物の縁の者の元へ、個人的な理由で行く為に親友達や組織裏切るのは、あれだけ盟しかいらないと言ってるイオにとっても、実は心苦しい部分があったのかもしれない。







 程なくして、閑静な通りに1台の黒張りのベンツが現れた。車体が長い。
殆ど音も無くランディと界の目の前に止まると、助手席からガードマン風の男が車から降り、ランディ達にドアを開けた。


『到着、遅れまして申し訳ありません』

『いいよ。俺らも遅れたから』

 ガードマンとランディの会話は完全に英語だった。英語が話せるなら、最初からそうして欲しかったと界は心の中でため息をついた。


『そちらの方がヘルメス様の、』

『ああ。アシスタント! シンゴ・スズキ』



 いつの間にか界はスズキ シンゴと言う偽名をつけられていた。
界はガードマンに軽く会釈する。相手にとっては随分と腰の低いスナイパーのアシスタントに見えた事だろう。
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