HEMLOCK‐ヘムロック‐

『あ、“ただのアシスタント”さんだったら、コードなんて知らないか』


 彼女のその言葉はランディにも向けていた。

 ランディはあくまで自然な態度で通すつもりだったらしいが、ヘスティアは完全に界が彼のアシスタントでは無い事を見抜いている。

紅龍會でまず始めに彼女に会うつもりでいたが、このタイミングでの相乗りはランディにも界にも完全に想定外の事態であった。しかも最悪に近い。


 相当頭がキレる。

 噂通りの才女の様だ。そんな事を考えながら、イヤな汗が吹き出て来るのを界は感じていた。



『紅龍會にようこそ』



 冷徹な微笑みが界の本心を射抜く。



彼女こそ紅龍會の最高幹部の1人、ヘスティア。



 イオやランディの親友という人物。そして……。



 “2人目の界”





 出会うべくして出会ってしまった。




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