HEMLOCK‐ヘムロック‐
 透は嫌な予感がしてならなかった。普段、森永刑事から透に用がある時は大抵映を通して連絡が来る。
別にそれが決まり事という訳では無いのだが、不自然であった。


『さっき興信所に電話したんだけど留守電でさ。忙しいの?』

「えぇ。まぁ。何で興信所に電話を?」

『ちょっと黒菱 界に用事があったんだけど、何故かアイツの携帯つながんなくてさ、そしたら興信所にも居ねーし』


 透は森永刑事の用件が気になった。むしろ一抹の不安が過ぎる。
どうか、たわいない用であって欲しい。


「俺が伝言しておきましょうか?」

『んー。直接がいいんだけどな。てか黒菱 界は今どこいるんだ?』

「界は捜査です。携帯の電源が落ちてるのは尾行捜査なんで……」

『じゃあ、いつ戻る? 今日か? 明日か!? 明後日か!!?』


 森永刑事の声は、次第に怒気を孕んだ物に変化していった。


『尾行捜査中に電源まで落とす事ないだろ。な? 駆藤 透。
……お前も隠してるな?』

「何の事ですか?」


 冷静を装った言葉とは裏腹に、透の心拍数は緊張で上がっていく。血の流れが聞こえてきそうな程に。



『伯方 まりさんが見つかったぞ
どういう事だ透?』






 バレた。



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